先日発売された「michigan」ではゲームの「売り」であった「エロ(い部分や)グロ(い部分)」がソニー(SCE)チェックでカットされたらしい。
PlayStationのビジネスモデルは、ハードウェア本体は安価で(それこそ原価割れでも)大量に普及させ、ソフトウェアへのライセンス料で利益を確保する形になっている。ライセンスを受けなければ公式にPlayStationのソフトウェアだと認められないため、一般の流通経路で販売する際にはソフトウェアメーカーはライセンスを受けなければならない。
ライセンスを受ける際には、ソフトウェアの内容に関してもソニーによるチェックを受ける必要がある。このチェックがなかなか厳しく、例えば止め絵でパンツが見えているだけでも通らないらしい。当然、18禁ソフトは通らない。
纏めると、PlayStationのソフトウェアを発売するには必ずソニーによる内容チェックを受ける必要があるということだ。なにやらどこかで聞いた話である。
『コモンズ』を読んだことがある人は「AOLとオンラインサービス(映画配信やメッセンジャーなど)」の関係を思い出して貰いたい。大手ISPであるAOLが「インターネットへの接続」だけでなく、「オンラインサービスの提供」まで行う場合、自社の優位性を確保するために、AOLのネットワーク上では第三者が提供するオンラインサービスのトラフィックを制限する可能性がある、という話だ。下位レイヤー(ネットワーク)を支配している団体がその上のレイヤー(コンテンツ)にまで事業を拡大した場合、簡単に同業他社を締め出すことが出来る。
PlayStationの場合、ハードウェアという下位レイヤーを完璧に支配しているソニーが、コンテンツ(ソフトウェア)にまで口出ししてくる。この場合、例えば「XboxやGAMEBOY ADVANCEなどでソフトウェアを発売したメーカーには、PlayStationのライセンスを与えない(もしくは、チェックを厳しくしたり、審査期間を必要以上に延ばす)」と言ったソニー優位のチェックが行われる事も考えられる。もっとも、実際にはこういった事は行われていないだろうし、公正取引委員会も有るので無謀な事は出来ないだろう。
しかし、どちらかと言えば問題は「エログロ」という「表現の自由」に関する裁量をソニーが独断で行っていることではないだろうか。AOLが「アダルトサイトの観覧は行えません」と言い始めたら非難囂々だろう。
PlayStationがソニーというブランドの一部である以上、「エロ」を許容することが出来ない、というのは何となく理解できる。「グロ」にかんしても消費者団体から苦情が来たりと、ブランドのイメージとしてはマイナスに働く部分が大きいのも分かる。内部事情は知らないのでチェック基準に対し簡単に文句を言うことは出きない。が、個人的にはソニーチェックは撤廃して貰いたい。PlayStationは「馬鹿」、つまりソフトウェアの土台となるハードウェアとしての存在、それのみでいて欲しいと思う。コンテンツのチェックを行うのはCEROの様な第三者機関に任せて(これについても流通に関しての強制力を持たせるべきではない)、ソニーはPlayStationの生産にのみ集中してくれないものか。
現在の所、「表現の自由」が1番認められている環境はPCだ。ATIやnVidiaのようなハードウェアメーカー(VGA)、Microsoft(Windows、DirectX)、ソフトウェアメーカーの3者はなかなか良い関係に思える。ATIが「Radeonを原価割れで売る代わりにソフトウェアのライセンスで儲けよう」と言い始めても、ソフトウェア的に基盤になるDirectXはMicrosoftが管理しているので、ライセンサーになること自体が不可能だ。Microsoftが暴走を初めて「DirectXの使用をライセンス制にします。反ビルゲイツ的ゲーム、エロゲは認めません」と言い始めると厄介だが、今のところその動きはない。
PCがこのままオープンな環境のままだと嬉しいのだが、コンピュータソフトウェア倫理機構の審査は厳しい上、CEROも進出してきて流通上のチェックはそれなりに厳しい。かなりの強制力があるソニーチェックに比べ、これらは自主的な規制であるのだが(規制が全くないとそれはそれで面倒な事になる)、色々と問題点も有るようで、この先どうなっていくのかは分からない。規制緩和が進むと嬉しいのだが。
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