Adaの参考書

Ada学習者のためにおすすめの日本語参考書をご紹介しよう。

まずは、「Ada 入門/和訳規約」(H.レッドガード著 ; 上条史彦 ほか 訳、産業図書)である。表紙を開くと最初に目に入る日本語版への序の一説をまずはご紹介したい。

Ada言語は新しく,かつ開発途上にあるため,固定された姿にはなっていない.

奥付には昭和58年と書いてある。西暦で言うと1983年である。驚くべき事に、英語版の原著が書かれたのはさらに遡って1981年になる。

内容はといえば、第1章に簡単な言語の説明があり、残りの半分以上のページはRMの和訳になっている。Ada83のRMが日本語で読めるという意味ではとても貴重な資料と言えるかもしれない。説明自体は本当に基本的な事のみに絞られている。概要をつかむだけならば十分な内容だが、詳しく勉強しようと思っている読者には少々物足りないかもしれない。

ところで参考書はすべて図書館にあったものを借りてきたものなのだが(なにせ今や絶版になっていない教科書は存在しない)、付属のカードを見る限り、歴史あるこの本を借りた人間は私の前には2人しかいなかったようだ。

さて、次は「Adaプログラミング」(石畑清, 疋田輝雄著、岩波書店、ISBN 4000076884)である。この本はなかなかおすすめだ。必要な情報がコンパクトにまとまっているので、すでにほかの言語を習得済みの読者ならばこの1冊でAdaについてよく理解できると思う。ただし、標準ライブラリやPragmaなどの言語環境についてはほとんど触れられていないので(まえがきに書かれている通りだ)、実際にコードを書く際にはほかのリファレンスが必要になるだろう。発行は1986年だ。

3冊目、「ADA : 言語とプログラミング方法論」(David A.Watt[ほか著] ; 藤田昭平, 細谷僚一監訳、丸善、ISBN 4621034529)はとても分厚い。620ページもあって表紙が堅いので盾と同時に武器としても使える。武器として使う場合は重量を利用した打撃だけでなく、とても鋭利な四隅の角うまく活用すると良いだろう。内容は「Adaプログラミング」とあまり変わらないのだが、説明が非常に丁重で、前提知識が不足している初心者に向いていると言える。また、演習問題がかなり充実しているので、授業で使うのにいいかもしれない。ある程度知識のある読者は適当に読み飛ばしながら読むのがいいだろう。この本だけなんと平成2年、西暦言えば1990年代に発行されている。手元で見つかった範囲では唯一の平成、かつ90年代の本である。

ほかにも何冊か発見したので現在取り寄せ中である。追って報告したい。