ブラウザ判定に失敗した時のフォールバック先はフル機能であるべきなのか
内容自体は概ね同意なのだが、1つ気になる文章が有った。
こういうフォールバック先は本来、そのサイトのフル機能を実装しているものの、ブラウザ(のバグ等)に対する回避処理を入れていない、理想的なブラウザでは機能するようなものであるべきです。そうでなくては新しいブラウザを含む、未知のブラウザをサポートできないからです。
この文には議論の余地があると思う。本来
という言葉を使うほど、この文が示す内容は妥当なものなのだろうか。というのも、今回Yahoo! JAPANは確かに最適とは言えないブラウザの判別方法を採用してしまったわけであるが、基本的には最新のブラウザにキャッチアップしていく姿勢で有るはずだ。作って放置するサイトならまだしも、このように最新状況にキャッチアップしていくサイトにおいては、フォールバック対象を前方互換(つまり未知のブラウザ)よりも後方互換(化石ブラウザ)に絞るのは間違った判断だとはいいきれない。
Yahoo JAPAN!のブラウザシェアは知らないので何とも言えないのだが、
Windows:Internet Explorer 5.5以上、6.x、7.x / Firefox 2.0以上 Macintosh:Safari 2.x
というサポート範囲を前提とした場合、果たして前方にサポート対象外となるブラウザと、後方にサポート対象外になるブラウザのどちらが多いのだろうか。もし(判別を正しく行ったとして)、旧ブラウザが多い場合、後方互換性に重きを置くという選択肢は十分あり得ると考えられる。
またそのような対象外ブラウザを使用するユーザのスキルについても考慮する必要がある。一般に、未知のブラウザを使うようなユーザと、古いブラウザを使い通い続けているユーザの事を考えた場合、前者のほうが問題発生時の対応力が高いと期待できる。問題が発生すると完全にお手上げ状態になる後者のユーザに、サイト側が歩み寄るのは対策としてはアリなのではないだろうか。
また、このような古いブラウザを使わざるを得ない環境を考えた場合、ユーザが取れる対応が著しく制限されている状況が考えられる。つまり、ハードウェアのスペックや社内規定による制限で、「動かない物は動かないのだ」とユーザがサイトの利用を諦めざるを得ない状況である場合だ。逆に未知のブラウザを利用できる環境ならば、旧バージョンを利用するなり何かしら対応を取る余地があると考えることが出来るだろう。
Flashオンリーのページが環境によっては困るように、ブラウザによっては動かない機能バリバリのページも困るものだ。そういう場合、フォールバック先をよりシンプルなページにすることは必ずしも間違っているとは言えないのではないだろうか。