アフターダーク問題とは

「アフターダーク問題」とは、システムの柔軟性不足を表す表現。特定の目的に特化したシステムに対して、想定外の要求が発止した場合に発生しやすい。

村上春樹の小説『アフターダーク』におけるファミリーレストランの注文システムに対する疑問から。

「どれだけかりかりにって念を押しても、トーストが注文通りに焼かれてきたためしがないんだ。よくわからないよな。日本人の勤勉さと、ハイテク文化と、デニーズ・チェーンの追求する市場原理をもってすれば、トーストをかりかりに焼くくらいそんなむずかしいことじゃないはずだ。そうだよね? なのになぜそれができないんだろう? トーストひとつ注文通りに焼けない文明にどんな価値があるんだろう?」

この例では、ファミリーレストランの注文システムが、トーストの焼き具合を厨房に伝える機能を持っていない点が問題となっている。システム構築時の要求仕様の設定に問題があった可能性が考えられる。

世の中のIT化が進み、システムが高度化していくに連れ、このような問題が発生しやすい。システムの設計者には現実に起こりうる要求を広い視野で見極める能力が必要とされる。