Dartoのフライパン(第1世代)レビュー
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南米のアルゼンチンといえば、肉料理には拘りのある国として知られています。今回紹介するDartoのフライパンは、そんなアルゼンチンで生産されている、焼くことに特化した極めて骨太なフライパンです。
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Dartoの特徴は、なんと言ってもその厚さと構造です。3mm厚の鉄板をプレスして作られたこのフライパンは、本体からハンドルまで一切の継ぎ目のない、一体構造で形作られています。27cmモデル(外周28cm)の重さは2.1kgで、これはde BuyerのMineral B ElementやCarbone Plusの28cmと同じ値です。
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本体の縁部分は、プレスのしやすさを優先してなのか、丸みを帯びたどことなく可愛らしい姿になっています。あまり他のメーカーでは見ない佇まいなので、個人的にはお気に入りポイントの一つです。しかし、その犠牲となっているのが調理面積で、平面部分の直径が19cm程度しかありません。比較的調理面積が狭いと言われているde Buyerですら、同サイズで直径20cmの調理面があることを考えると、19cmというのはかなり狭い値です。
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全体が一体成型なので、ハンドル部分もただの鉄板で出来ています。このハンドル、リベットなどの接合部が無いため、洗いやすさという面では優れているものの、持ちやすさという観点からすると、残念ながら評価しづらい部分があります。なんと言っても重量が2.1kgグラムもあるため、それをただの鉄板を握って持ち上げるとなると、それなりに手に食い込みます。面取りやコーティングで持ちやすい様に工夫されたde Buyerのハンドルに比べると、Dartoのハンドルは実用的に大きく見劣りすると言えます。さらに、筆者のもとに届いた個体は、ハンドルのエッジにバリが残っていて、素手で握るとそれだけで痛いというレベルでした。結局、握りやすいようにヤスリを使って自分で面取りしたのですが、もう少し品質にはこだわってほしいところです。
このフライパンのもう1つの難点が、底面の変形です。もちろん、板厚が3mmもあるため、目に見えて変形するようなことはないのですが、加熱による膨張で底面が下方向に少しだけ膨らむことがあります。この場合、平らな面にフライパンを置くと、表面によってはフライパンがコマのように回転してしまいます。五徳があるガスコンロではまず気が付かないレベルの変形ですが、IHなどのフラットなコンロでは問題になるかもしれません。なお、この問題は第2世代のDartoでは解決されています(後述)。
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用途について
重量級のフライパンなので、用途は焼き料理がメインになります。とはいえ、焼き料理をする上でも狭い調理面積が災いして、二人前以上を同時に調理しようとすると、少し手狭に感じることがあります。
このフライパンを振るのは物理的にほぼ不可能なため、炒め物をしたい場合はヘラでかき混ぜることになります。幸い、縁の高さはそれなりにあるため、混ぜていて中身が飛び出しやすいということはありません。
購入方法について
Dartoのフライパンは公式サイトからオンラインで購入することが出来ます。国際発送にも対応しているので、日本からでも注文可能です。
2018年の5月から、Dartoは第2世代モデルの販売を開始しました。第2世代では、3mm厚の一体成型はそのままに、縁の立ち上がりを急角度にすることによって、調理面積を大幅に拡大しています。また、底面についても上方向への予備変形が行われるようになり、加熱による変形でフライパンが不安定になることを防いでいます。丸っこいフォルムが無くなってしまったのは若干残念ですが、全体的な使い勝手は大きく向上しているようです。
まとめ
Dartoのフライパンは、その厚みと特徴的な姿により、キッチンで独特な存在感を放ちます。一方で、調理面の狭さや底面の変形、持ちにくいハンドルの事を考えた場合、筆者の使っている第1世代Dartoは必ずしもお勧めできるフライパンとは言えない部分もあります。幸いなことに、現在販売されている第2世Dartoであれば、ハンドルの問題以外は既に解決済みです。De Buyerが普通すぎてつまらない、という場合には、選択肢に入れてみるのも良いかもしれません。