Mauviel M'Steel Round Frying Panのレビュー

Mauviel M'Steel Frying Pan
Mauviel M'Steelフライパン

Mauvielと言えば、銅鍋で有名なフランスの老舗ブランドです。1830年にノルマンディ地方のVilledieu-les-Poêlesという村で創業したMauvielは、現在ではヨーロッパはもちろんのこと、日本や米国でもその名を知られる名門ブランドとなっています。今回紹介するM’Steelフライパンは、そんなMauvielが作る安定の鉄フライパンです。

Mauviel M'Steel Frying Pan
袋に入って届きます

Mauvielといえば銅鍋というイメージが強いブランドですが、今回紹介するM’Steelシリーズは鉄で出来たフライパンです。

Mauviel M'Steel Frying Pan
De Buyerにそっくり(汚れのようなものはコーティングの蜜蝋です)

写真を見ると分かる通り、基本的な作りはde BuyerのMineral B ElementやCarbone Plusにそっくりです。このタイプのフライパンはフランスのメーカーに多いデザインで、他にもMatfer Bourgeatなども同じような形のフライパンを作っています。また、クラシックフライパンで有名なTurkも、別シリーズに同様の形のフライパンがあります(Turkはドイツのメーカーではありますが)。

このシリーズ、興味深いことに米国ではSur La Tableのようなキッチン用品店でも買えるのですが、本国のフランスや日本ではあまり取り扱いが無いようです。なぜ米国だけ、という気もしますが、なにか理由があるのかもしれません。

Mauviel M'Steel Frying Pan
Made in France

スペックと実測値

このフライパンの興味深いところは、その公称スペックと実際の値との乖離にあります。

M’Steel 28cmの公称スペックは、大きさが28cmで板厚が1.2mm~3mm、重さが2kgという事になっています。これはほぼde BuyerのCarbone Plusなどと同じ値です。

一方で、実際に手元の商品を測ってみると、本体の直径が28.8cmで、重さはなんと1.6kg程度しかありません。そのため、de BuyerのCarbone Plus 28cmと並べてみると一回り大きいサイズに見えるのですが、重量に関しては500g近く軽いために、持ち上げてみると軽さに驚きます。軽さの秘密は恐らく板厚にあり、縁部分が2.7mm前後しかなく、3mmのCarbone Plusと比べると、明らかに薄く作られています。また、底面の直径もCarbone Plusの20cmに比べて21.5cm程度あるため、Carbone Plusに比べると、調理面積も大分大きく感じられます。

何故ここまでスペックと実測値が異なるのかはわかりませんが、実際のところ、この大きさと重さは良く考えられたバランスになっています。というのも、de Buyerは良くも悪くも超重量級で、大きめのサイズを扱うためには、それなりの腕力が要求されます。28cmモデルの2.1kgという重さは、人によってはそれだけで候補から外れてしまうレベルですらあります。これに対してM’Steelであれば、若干板厚が薄くなるものの、500g近い軽さとより広い調理面積を得ることが出来ます。De Buyerより薄いとは言え、2.7mmの厚さがあれば、通常の調理で困ることはまずありませんし、取り回しを考えるとM’Steelの方が使いやすいバランスとも言えるでしょう。

そのほかの作り

Mauviel M'Steel Frying Pan
ハンドルはシンプルな形状

ハンドルは鉄製で、本体にはリベットで固定されています。ハンドル部分は何らかのコーティングがされているのですが、Mineral B Elementなどに比べるとコート層は薄めで、サラッとした触り心地です。形は比較的板のままに近く、握りやすさの面ではde Buyerに軍配が上がります。

本体部分は、de Buyerなどと同じく、中央が盛り上がるタイプの成形がされています。これは加熱による変形で底が下方向に膨らまないための工夫で、平らな面の上でフライパンを安定させるのに役立ちます。油が若干外側に流れやすくなるのが難点ですが、普通に使う分には問題になるレベルにはなりません。

ホットケーキ以外にも便利

お勧めの用途

De Buyerに比べて軽量とは言え、このクラスのフライパンを煽るのは無理があります。メインの用途は焼き料理になるでしょう。深さは約4.5cmと、de Buyerとほぼ同等です。ヘラでかき混ぜるだけで良ければ、炒め物も不可能ではないのですが、あまりお勧めは出来ません。深さがそれなりにあるので、ターナーはしなるものがあると便利です。

Mauviel M'Steel Frying Pan With Turk Classic Pan
Turkのクラシックフライパン28cmと比べると深さがある

使い始めとハンドル黒焦げ事件

M’Steelは、De BuyerのMineral B Elementなどと同じく、出荷時は蜜蝋でコーティングされています。この蜜蝋は熱湯をかけると落とすことができるのですが、de Buyerの蜜蝋に比べると固めに作られているのか、簡単には流れてくれません。結構な量のお湯を用意するか、面倒であればオーブンを使ってまるごと加熱すると簡単に落とすことが出来ます。

説明書によると、いわゆる「焼き込み」は特に指示されておらず、「油慣らし」程度で良いようです。筆者はフライパンを青くするのが好きなので、適当に空焚きしてテンパーカラーを付けたあとに、オーブンを使って亜麻仁油(Flax Seed Oil)でシーズニングしました。しかし、毎日使うフライパンの宿命として、赤ワインやレモン、トマトなどの酸性物を調理すると、あっという間にシーズニングが剥がれてしまいます。下の写真ではフライパン全体が均一に黒くシーズニングされていますが、その後赤ワインを煮たところ全て剥がれてしまいました。あまり真面目にやっても意味がないので、最初のシーズニングは程々にしておくのをお勧めします。

Mauviel M'Steel Frying Pan
シーズニングで本体もハンドルも漆黒に

このフライパン、一応公式ではオーブンにも入れられることになっています。筆者はオーブン調理を良くするので、この点は重要です。しかし、実際にオーブンで高温に晒したところ、ハンドル全体が黒く変色してしまいました。ハンドルにコーティングがされているので、なんとなく予想はしていましたが、オーブンの中で焦げてしまったようです。焦げた、とは言っても色が黒くなって手触りが若干変わっただけなので、実用的には特に問題無いのですが、変色が気になる人は、念の為オーブンでの使用は控えたほうが無難と言えそうです。

まとめ

一見するとde BuyerのMineral B ElementやCarbone Plusと同じように見えるMauviel M’Steelですが、実際に使ってみると意外な個性に驚かされるフライパンです。特に、その調理面積の大きさと重量とのバランスの良さは、毎日使うフライパンとしてはかなり高い水準だと言えます。実際に、筆者の家でも頻繁に使うフライパンの一つになっています。日本でも簡単に入手できるようになれば、かなり有力な選択肢になるのは間違いありません。正規輸入品が販売されることを祈りましょう。